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「この場所で儀式を行って、お前の娘を供物として捧げるのよ!!」 燃え盛る個室のドアをどんどんと激しく叩く音が両耳に響いてきます。 「ママ! たすけて、ママァ!!」 そして、はっきりと七海の声が聞こえてきました。 「七海っ!!!!」 トイレのドアには細工が為されていて、七海は中から出られないようです。 「ママ……ゲホゲホッ。……ママたすけ…………」 「七海!! 七海ィィィィィィ!!」 このままでは、娘が死ぬ。 目の前で最悪の事態が起ころうとしていた時、私はトイレの方へ手を伸ばしました。 「あああぁあぁああああッ!! ……アアアアアアアアアアアアアア!!!!」 刃物が首に向けられているのも忘れ、七海の元へ行こうと身体を揺さぶって――無理矢理、陽子さんの腕から抜け出しました。
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