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その日は、娘の七海の誕生日。
「お邪魔するわよォ」
5歳になった七海を祝いに、義母と義弟がやって来ました。
義母の名前は、小太刀恵子(こだちけいこ)。
義母はいつも、顔の右半分を黒髪で覆っています。
「こんばんは、お義母さん」
「…………」
義母は出迎えた私の挨拶を無視して真横を素通りし、リビングへ。
義弟も無愛想な顔で無言を貫き、義母のあとに続いて部屋に上がりました。
義弟の名前は、小太刀亮(こだちりょう)。
いつ見ても、グレーのハンチングに黒の上下ジャージ姿をしています。
それにいつも無表情で、何を考えているのかわかりません。
「あらァ。拓也、また痩せたんじゃない?」
義母はリビングでテレビを見ながら寛ぐ拓也に話し掛けました。
「そう?」
「そうよォ。ちゃんと麻衣さんに食べさせてもらってる?」
そこでようやく、義母は私に目を向けました。
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