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なんでこいつまで、全く今日は最悪だ。
「な、なんでお前が」
「う~ん、悠李んとこの野菜食べたくなっちゃってさ、来ちゃった」
「来ちゃった、ってお前なぁ」
咲乃は俺とは裏腹に野菜が大好きで、昔からちょくちょくうちに来ては、野菜を貪っていた。
「いいじゃん、いいじゃん賑やかでさ、あたしも久し振りに咲ちゃんに会えたし。」
「そうだよ、かたいこと言うなって」
「はあ、もう勝手にしてくれ」
そして、母が夕飯を運んできた。
「うわ…」
俺の目に飛び込んで来たのは、
野菜、野菜、野菜、
見るだけで吐き気がしてくる。
それを見て咲乃が
「わぁ、やった!雨澤家の野菜たくさんだ~」
続けて姉貴が
「やりぃ!あたしの大好物じゃん」
そして母がしばらくして、卵焼きを持って来た。
親父からの視線が痛い。
その目が「野菜を食べろ」と言っているのがはっきり伝わってくる。
それを見てまた咲乃が
「悠李さ、もしかしてまだ野菜食べれないの?」
「うっ…」
図星をだった。
一滴の汗が頬を伝う
「咲乃ちゃんからなんとか言ってやってくれんか」
親父が口走った。
(くそ親父がっ…)
俺は心の内で叫んだ。
「しょうがないなぁ、ちゃんと野菜食べないと練習量更に足しちゃうゾ」
「単なる脅しじゃねぇか」
だからといって、ホントに練習量を増やされたらたまったもんじゃない。
「そこまで言うなら食ってやろうじゃねえか!」
グサッ!!
握りしめた箸をサラダに突き刺した刹那
ガブッ!!
(あれ?意外と…、ッッ!!!)
ガタン!
椅子が倒れた、だがそんな事はどうでもよろしい。
俺は鬼の形相でトイレに駆け込んだ。
数分後、
トイレから出た俺はよろよろしながら部屋に向かった。
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