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「……りっ……祈っ!!いぃのぉりぃっ!!」
安眠の中、聖斗の声で目が覚めた。
「……んっ…」
目は開いたが、ボーッとし聖斗を見ているんだけど、覚めない頭は視点をあわそうとしない。
「大丈夫?風邪引くよぉ…」
(んぁ…聖斗か…)
俺の鞄を持ち、帰り仕度を済ませた聖斗が、心配そうに俺に語り掛けてくる。
「ん~…大丈夫…」
徐々に意思がはっきりしてくれば、聖斗を見あげ薄く笑みを浮かべながら頷いた。
「なぁ、祈…彼女どう?…良い子なん…?」
何気なくであろう、聖斗は少し不安そうな顔で、聞いてきた。
(聖斗?…)
「ん~…まぁなぁ…」
そして俺も、背伸びをしながら考え、大丈夫だと言わんばかりに…頷いて、再び聖斗を見直した。
「俺…本当は、言わないで…おこうと…思ってたんだけどさぁ…」
(ん?)
俺から目を剃らした聖斗は、言いにくそうに口を開いた。
俺は何も言わず、聖斗の話に耳を傾けた。
「祈の彼女…奈南月さん?だっけ…、あんまり良い噂聞かないよ…?」
思わぬ言葉に、驚きを隠せず…呆然と、聖斗を眺めた。
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