【告白~前編~】

7/8

583人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
「……りっ……祈っ!!いぃのぉりぃっ!!」  安眠の中、聖斗の声で目が覚めた。 「……んっ…」  目は開いたが、ボーッとし聖斗を見ているんだけど、覚めない頭は視点をあわそうとしない。 「大丈夫?風邪引くよぉ…」 (んぁ…聖斗か…)  俺の鞄を持ち、帰り仕度を済ませた聖斗が、心配そうに俺に語り掛けてくる。 「ん~…大丈夫…」  徐々に意思がはっきりしてくれば、聖斗を見あげ薄く笑みを浮かべながら頷いた。 「なぁ、祈…彼女どう?…良い子なん…?」  何気なくであろう、聖斗は少し不安そうな顔で、聞いてきた。 (聖斗?…) 「ん~…まぁなぁ…」  そして俺も、背伸びをしながら考え、大丈夫だと言わんばかりに…頷いて、再び聖斗を見直した。 「俺…本当は、言わないで…おこうと…思ってたんだけどさぁ…」 (ん?)  俺から目を剃らした聖斗は、言いにくそうに口を開いた。  俺は何も言わず、聖斗の話に耳を傾けた。 「祈の彼女…奈南月さん?だっけ…、あんまり良い噂聞かないよ…?」  思わぬ言葉に、驚きを隠せず…呆然と、聖斗を眺めた。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

583人が本棚に入れています
本棚に追加