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「聖斗ぉっ!!」
聖斗の家に着き、叫び上げてやった。
聖斗の両親共に、仕事をしていて、家には居ない。
「お前っ、風邪ひいてんだってなぁっ!!」
階段を上がり、聖斗の部屋に行き、戸を開けるなり叫んでいた。
「いっ祈っ!?なっ何でっ…」
俺を見て驚き不思議そうに見上げる顔は、熱があるのだろう赤くなっていた。
(本当に…風邪なんだな…)
何か安心しちゃいけないとこで、安心してしまった。
「風邪なら風邪って、俺のお袋に言っとけよっ!心配…したんだからなっ…」
何故か段々、自分が弱気になっていくのが解り、声のトーンまで下がってしまった。
「だって…3日前の事、あったし…嫌われてるって…思って…」
熱のせいか、発する言葉は弱くなり、俺を見上げる目はうるみだし。
(…そうだった…)
「…お前…何も、食って無いんだろ?…作って来るから、大人しくしてろっ…」
聖斗の言葉で、3日前の事を思い出し、自分の頬が熱くなるのが解る。俺は赤い顔を隠すように、言いながら出入口を振り返った。
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