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「祈…」
俺の名を呼ぶ聖斗の声が、聞こえていないふりをし、部屋を後にした。
(何…俺が、動揺してんだよ…)
台所に行き、鍋を出しながら、一人心の中で叫んでいた。
聖斗の家には、何度か来ていて、両親共働きを知ってから、たまに飯を作りに来ていたから、何が何処にあるかは大体把握したかなっ。
(あっ…飯粒無いじゃん…)
炊飯器を見ながら、とりあえず飯炊きから、始める事にした。
(早炊きでも、四十分…)
長いと思いながらも、飯炊きをした。
四十分後、待ってる間に買い物をし、聖斗のおばさんにまで、連絡を入れた俺。
(何かなぁ…)
何で犯して来た相手の家で、俺は料理に励んでんだろ…。自分が自分で解らない…。
(あん時…兄と違って、…あんま…嫌じゃなかった…)
鍋に炊けた飯粒を入れ、水を入れ塩を適量加え沸かしながら、あの日聖斗の行為を思い出していた。
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