【入学式~番外前編・聖斗~】

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「…二人共、私は食事に行きますね。」  不意に立ち上がり、そう言うとそそくさと、保険医は保険室を出ていった。  それを、俺と祈は見送った。 「…倒れた時…血が…、流れてた…」  俺は意を決し、祈を見つめながら、口を開き途切れ途切れに、話をし始めた。 「えっ…何が?」  俺の言葉が理解できないのか、不思議そうに首を傾げながら言い。 「あ…の、太ももに…。あっ、急いで拭いたからっ、他は誰も…」  俺は言葉を付け足し、慌てながらフォローした。 「…あ…そか…、ありが…と…」  祈は理解したのか、切なそうに肩を落とし、下を向いてしまった。  また…沈黙。今度は俺じゃない、祈が話すのを待つんだ。  話して、くれるのを…。                           つづく
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