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「ただいまぁ~!」
考えてる内に、親父帰宅…って、早いよ。
(あぁ…なんて、タイミングの良いこと…)
ってか、俺が新しい服着ると何故、親父は定時に帰ってくんだよっ!?
「おぉ、祈ぃ~!可愛いじゃないかぁ~」
(うっ…嬉しくねぇ…)
親父の言葉に、眉をしかめ少し、睨みつけ。
親がこんなんで、良いのかよ…。“可愛い”言われて、男の俺が喜ぶかってのっ。
「どうしたの?祈、そんな怖い顔を、しなくても良いじゃないかぁ~。」
すねた様に言う顔は、楽しさに満ちていた。
(楽しそうに…笑いやがって…)
俺の気持をよそに、親父は着替えをしに、寝室へ消えて行った。
(はっ!!…親父が帰って来たって事は…)
嫌な予感が、背筋を走り着替をしようと、階段へ差し掛かった時だった。
「ん…へぇ。祈ぃ、また新しい服、買ってもらったんだぁ。」
楽しそうに笑う男、俺の兄叶(カナエ)が帰ってきたとこだった。
(しまった…もっと早く、気付けば良かった…)
「うっうん…」
顔を見たくなく、俺は階段を見つめながら、頷いた。
「フッ…後で、そのまま部屋なっ。」
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