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「解ってる…けど…」
聖斗は少しいじけたような声で、ぶつぶつと呟くのだった。
(俺の方が、お前に気ぃ使っちまうよ)
あの時の事を考えるなってのも、無理だろうな。天然だけど繊細で、純粋だから俺以上に…傷付きやすかった。
嬉しく無い訳じゃない、ただ兄は血の繋がりしかないと、苦しんでもいたんだ。
出来れば、大好きな聖斗には…兄と話しくらいは、出来るようになって欲しい。
「聖斗…。もう今は、大丈夫だから…。こうして、一緒にいられるんだから…そろそろ、自分を許してやれよ?」
椅子に座る聖斗に近寄り、そっと抱き締めながら気持ちを和らげてやろうとした。
(俺が好きな聖斗が、自分を好きじゃないとか…嫌だよ)
「祈…ありがとう…。」
こうゆう素直なとこも、可愛く思えるよ。
聖斗が落ち着くまで、少しの間抱き締め続けた。
「も…少し、時間かかるかもしれないけど…、頑張るっ」
しばらくしたら、顔を上げて微笑んでくれた。俺は、そんな聖斗が大好きなのだ。
「さて、部屋の片付け終わった?」
俺はゆっくり聖斗から離れ、キッチンへ戻りながら尋ねた。
(結構…時間、あったと思うけど…)
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