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「死ぬなんて許さねえっ!」
びくっ、
一也の指先につけられた医療器がキュッと持ち上がる。
僅かに。
「一也!!」
「spo2……87!」
「自発呼吸あります!」
一也の顔面上には包帯。
その包帯の下から覗いた目がうっすらと開き、白い唇から僅かに血が零れた。
ゆっくりと。
震える手が持ち上がり酸素マスクを払い除けた。
「…こ、んな、……いらねえ…」
「一也っ!」
「……ひか、る、……ちゃん、は?」
「無事だ!戻ってこい!一也!!」
「…若、…りおさ…んのお腹の…」
「ああ、無事だ!おまえが守ったんだ。一也っ!!」
払い除けたマスクが音を立てて床に滑り落ちた。
くっ、と息を苦しげに飲み込み眉間にシワを寄せた。
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