告白

5/8
13733人が本棚に入れています
本棚に追加
/2776ページ
榊が眉をひそめて、 そしてため息をついた。 「どうせ止めても行くんでしょうから止めません。ただ、その服で行くのならやめた方がいいです。襟と袖口に血がついてます。 りおさんが気づかぬはずはありませんから」 「………」 「りおさんのことを気にされてるんですね」 「………」 「りおさんを迎えに行ってきたら、成田の診察を受けていただきますよ」 「ああ」 わかった。 仁も毅も榊もわかってる。 俺が優先すべきものがりおだということに。 「着替えてください」 少し動くと腹の中の熱が沸き上がってくる。 「く、」 「若、」 ゴボッ 競り上がってきたものをまた吐き出した。 ぐらりと傾いだ体を榊が受け止めて苦笑いする。 「…そんな体でも、りおさんのところに行くんでしょう」 「ああ」 口許の血を手の甲で拭う。 .
/2776ページ

最初のコメントを投稿しよう!