いちご同盟

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いちご同盟

校舎を出ると、風がほおを打った。 湿気をはらんだ生暖かい風だ。 灰色の雲が空を覆っている。明日は雨になるだろう。 グラウンドから、打球音が聞こえてきた。 徹也(てつや)の顔を見たくなった。 電話で声は聞いたけれども、一か月以上も会っていない。 バックネットのほうに歩いていった。 グラウンドに出てノックでもしているのだろうと思ったのだが、徹也は制服のままで、バックネットのこちら側にいた。 女生徒に取り囲まれている。 徹也が女の子に追いかけ回されるのはいつものことだ。 試合を控えた練習が続いていたころは、練習一筋といった感じで、 女の子の声援を受けても無視していたのだが、 試合がなくなれば、もともと陽気な人間だから、 すぐに調子を合わせてしまう。
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