運命

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運命

人間の運命など、はじめから決まっているものだと僕は思う。 まるで分岐点のないレールの上を進み続けるかのように、僕たちは初めから全て定められた人生を歩んでいるのであろうと僕は思うのだ。 そして、そのレールの切れる場所が、人生の終焉であり、僕たちはそこで人としての生涯を終えるのであろう。 このようなことを言えば、反対する人間は決して少なくはないだろう。 なぜならば、僕たちは様々な事象にぶつかり、そしてその度に自分なりに考え、結論を出し、あらゆる選択をしながら、人生を歩んでいるからだ。 しかし、だからといって、本当に僕たちが全て自分の意志の下に選択を行い、分岐点を進み、そのことによって、違う選択をすれば異なる道を進めると言うことができるだろうか。 答えはノーだ。 僕が考えるに、おそらく僕たちが分岐点に立ったときに行う選択の結果すら、はじめから運命として定められているのだ。 例えば僕がAとBの選択において、Aを選んだとする。 だけど、それは僕が決めたのではなく、初めから僕がAを選択するように定められているということだ。 つまり、一見分岐点に見えるその点は、本来的には分岐点でも何でもないのだ。 そこには一本道があるに過ぎない。 そもそも、僕だって、ずっとこんなふうに考えていたわけではない。 僕がこのように考えるようになったきっかけは、もちろん存在する。
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