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1998年の春、僕は予備校の門をくぐった。
無論、それは僕の望んだものではない。
僕だって、できることであれば、浪人などすることなく、一発で大学に入学し、大学生としての春を謳歌したかった。
僕にしてみたところで、それほど努力を怠ったというつもりは毛頭なかったし、成績の面においても、目標とする大学に合格するに十分すぎるほどのものだった。
だから、僕にとって、目標とする大学に合格できなかったことは一種の事故のようなものだった。
それでも、そのことによって、ただいじけていたところで何になるというのだろうか。
そんなことをしていても、何一つ解決しないことは、考えるまでもなく明らかだ。
そういう訳で、僕は不本意ながらも予備校に進学し、一年間の間に更に力を蓄えて、大学合格を目指すことを決意したのだ。
僕の通うこととなった予備校は、比較的自由な雰囲気で、特別に出席を確認することもなければ、毎回試験を行うというようなこともなかった。
当然、そのような雰囲気の中では堕落していく人間も少なくない。
周りを見回せば、すでに二度、三度と大学入試に失敗した人間も少なくはなかった。
そんな彼らを見て、僕は間違ってもあのようにはなるまいと心に誓い、僕は新たな一年を踏み出した。
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