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予備校に通い初めて一ヶ月もした頃には、僕も予備校の雰囲気に慣れ、何人かの親しい友人もできていた。
僕はその予備校の最も上のクラスに所属していた。
周りを見回せば、全国模試で上位にランクするような生徒ばかりで、目指す大学も東京大学だとか京都大学だとか、いわゆる一流大学ばかりだ。
僕自身、東京大学を目指していたということもあり、そこにいるクラスメイトは友人であると同時に、強力なライバルでもあった。
だが、どんなに凄い集団の中にも、決まって毛色の違う人間というものは存在するものだ。
そして、僕の所属していたそのクラスにも、一人だけ毛色の違う人間が混じっていた。
もちろん、彼も同じクラスに所属している以上、決して成績が悪いわけではない。
だが、彼はよく授業をサボタージュし、そして、未成年であるにもかかわらず、見る度にいつもタバコを吹かしていた。
授業をサボタージュして何をしているのかわからないが、少なくとも彼はすでに僕たちの競いあっているレースから脱落してしまっている、僕はそんなふうに思っていた。
そんな彼が何の前触れもなく僕に話しかけてきたのは、五月中旬のある晴れた日の昼下がりのことだった。
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