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僕は自分の牌姿と、残りの三人の捨て牌を眺めながら、切るべき牌を決定する。
四索を切る、それが僕の出した答えだった。
そして、僕はゆっくりと四索の牌に手をかけ、それを切る。
その瞬間、向かいに座っている彼が、「ロン」と大きな声で宣言し、自分の牌を倒し、「大三元、役満だ」と嬉しそうに言った。
それにより、僕と彼の点数は一気に逆転してしまった。
「どうして君は四索なんかで待っているんだ。捨て牌からは考えられない」
僕が言うと、彼は笑って言った。
「こういうのは、理屈ではないのさ」
「だったら何だと言うんだい?」
「運命さ。俺は引いた牌の結果によって、四索で待つ結果になった。だけど、それは運命であって、始めからそうなるように決まっていたのさ。君が四索と何か別の牌の選択で迷うようはめになったのも、運命であって、そうなるように決まっていたのさ。そして、もちろん、その選択において君が四索を切ることもね」
「そんなはずはないだろう?」
「いや、そういうもさ。ありとあらゆるものは、始めからその結果が決められている。そこにあるのは、運命によって予め決められた必然だけであって、本当の意味での選択など存在し得ない」
彼はそう言うと、小さく笑って、「大学受験も同じさ。どんなにもがいても、結局は運命ですべては決められている。悩んだり、苦しんだりするだけ無駄さ」と付け加えた。
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