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「おしまい」
パタン…と父が本を閉じる。古びた匂いと埃が飛んできた。
「おもしろかったか」
「うん」
「お前は他の話は読まないのか?たくさんあるぞ」
「ううん、フォース・ガーデンのお話が好きなの」
「ははは、そうか…」
しかし私も老いた。娘がこんなに大きくなったと感じるようになったからだ。我が娘はどんな大人に成長するのだろう。いまはそれが楽しみである。
「お父さん?」
「…お、お?」
「私、修行に行くよ?」
「そうだったな、今日からだったか」
「お父さんみたいにすごい魔法使いになるからね!」
「はっはっは、楽しみだな」
私の旧友であるジルに、アルミナの修行を頼んでおいたから後はアルミナ次第だろう。
一人ジルの元へ旅立つ娘を見送り、弟であるグラックスにこう告げた。
「お前も、お姉ちゃんを追うんだぞ」
「…うん」
グラックスはどこか暗い顔をしていた。姉を見送るや否や、さっさと家に入ってしまった。やはり年頃の子どもたちは扱いが難しい…
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