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二人がこの講義を取るつもりがないことは確かなんだろうけれど、何の関わりもない私が、でしゃばる勇気は正直ない。 そして、そうしている間にも人はどんどん減っていく。 座ったまま残っている人は、最初にいた人の半分程しかいないのではないだろうか。 私も、出ていくなら早く出ていかなきゃと思うけど。 「……」 どうしてだろう。 どうしても気になる。 そう自覚すればするほど、その思いは強くなっていく。 あの目が、あの笑顔が、どうしても気になる。 このままここにいれば、また見れるかもしれない。 もっと、近付けるかもしれない。 ……そんな思いだけが、その時の私を突き動かしていた。
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