24人が本棚に入れています
本棚に追加
今、何がどうなっているのか。
私にはまるで分からない。
置かれたままの紙に目を落として固まっていると、私の机の上を、トントンと叩く手が目に入った。
薬指にシンプルな指輪が光る、白いけれどゴツゴツした手。
その手につられるように顔を上げれば、
「……あ」
そこには、困ったように笑う例の二人がいた。
柔らかそうな髪の彼に至っては、顔を見るのさえ初めて。
髪同様、柔らかい雰囲気をもった、優しそうな顔立ちに、何となく安心する。
さっきの手は、どうやら彼だったらしい。
そんな場違いなことを考えていると、その柔らかそうな髪の彼が口を開いた。
「すみません突然。
ちょっと聞きたいんですけど、これどうなってるんですか?
人もかなり減ってますけど、皆もう帰ったんですか?」
「……あ、はいそうです。
さっきプリントの説明が終わって、正式に履修する人だけ残ってる感じです」
簡単な説明になってしまったけど、彼らにはちゃんと伝わったらしい。
二人は、それを聞くなり大きな息を吐いてうなだれた。
最初のコメントを投稿しよう!