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  「そんな落ち込むな恵。 ほら、まだ履修変更出来るしさ」 「ありがと俊太郎。 うー、でも今日は登録してあるし行かなきゃ……」 「めぐ、真面目ー。サボっちゃえば良いのに」 「……」 確かに、千絵の言う通りかもしれない。 どうせ履修変更するなら、今日の授業に出なくても別に支障はない。 選択科目の初回授業なんて、お試しみたいなものだし。 分かってはいる、けど。 「やっぱり、今日は行くよ。 他に取りたい授業もないし、どんなもんか体験してくる」 授業が始まったばかりで気合い十分な、今日だからこその発想だったと思う。 私は、そんなことを口走っていた。 「えっ、めぐ偉い! 頑張れー!」 「珍しくやる気じゃん。 また感想聞かせてよ」 「ほんと、お前度胸あるわ」 千絵、瑞希、俊太郎の反応に苦笑いを返す。 この選択が、後の私にどんな影響を及ぼすかなんて、その時はまだ知らない。 この選択が私自身をあんなに苦しめるきっかけになるなんて。 私はまだ、知らない。
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