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  教室の扉に、恐る恐る手をかける。 学食で三人と別れて、政治学の教室にたどり着いた私だったけれど。 普段は何でもない扉を前に、妙に緊張している自分がいた。 それでも、今更引き返すなんて格好悪いし恥ずかしい。 覚悟を決めて、ゴクリと唾を飲み込む。 そして、扉を開けた。 「……」 途端目に入ってくるのは、普段と何ら変わらない、ガヤガヤとした室内だった。 そりゃそうだ。 まだ講師も来てないみたいだし、鐘すら鳴ってないし。 一気に緊張が解けて、キョロキョロと空いている席を探す。 見たところ知り合いはいないようで、仕方なく一人で席に着いた。 窓際の、真ん中より少し後ろの席。 前過ぎず後ろ過ぎず、ちょうど良い席に座れてホッとする。
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