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  「……」 その彼と、ふいに目が合った。 切れ長の綺麗な目が印象的な、いかにもモテそうな今時の男の子。 丸みを帯びたフォルムの髪型は、隣で眠る彼と違ってツンツンと固そうだ。 ワックスか何かで上手に遊ばせているせいで、そう感じるのかもしれないけれど。 「んー……。 あれ、直哉来たんだ……」 低く、眠たそうな声でハッと我に返る。 固そうな髪の彼を凝視していたことに気付いて、慌てて目を逸らす。 窓の外へと動かす視界の端で、寝ていた男の子が起き上がるのが見えた。 「俺早く来すぎてさー。いつの間に寝てたんだろ……」 「めちゃくちゃ眠そうだな。 なに、徹夜でもした?」 「まぁ……。 バイトの人らと飲んでて、寝たの朝の7時で……」 「あー、そりゃ眠いだろーな」 ……何聞き耳立ててるんだろう、私。 すぐ近くで話してるからとは言え、つい耳を傾けてしまっていた自分につっこむ。 誤魔化すように意味もなく携帯を触っていると、ようやく講師が教室に入ってきた。
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