マンション的日常

管理人の部屋【注意書き】

｢それではまずマンションにおける３つの規約をご紹介します。どれも大切ですので、この３つだけは必ず頭に叩きこんでくださいね｣

【規約その１】

他の住人の恋愛に口を挟まないこと。

【規約その２】

新しい入居者は優しく迎え入れてあげましょう。

【規約その３】

自分の責任は自ら負担すること。何か問題があった場合マンションは一切責任を負いません。

｢以上です。どうです？簡単でしょう？まぁ常識を並べただけですからね。あまり難しく考える必要はありませんよ｣

ここで一度水貴はカップを持ち上げ、上品に傾ける。水貴の鼻腔を紅茶の香りが抜けた。

と、水貴はおもむろにスーツの中をまさぐりだす。何事かと目を見張っていると、ずいっと一枚の紙を差し出される。

手に取ると紙には名前とファーザーズ･ヤード管理人とだけ書いてある。裏返してみるとそこに携帯電話の番号と思われる数字が並べられていた。

どうやら彼の名刺らしい。

｢何かあればそこに連絡を下さい。もちろん住人の情報を聞いたり、新しい入居希望の方を紹介していただいても構いません。

ただ、私の部屋を訪ねて来る際にも必ず連絡を下さい。イロイロと準備があるやもしれませんので。

私の方からは以上です。

それではお部屋に案内します。
どうぞ、これからの生活を存分にお楽しみください。