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「おい明日―…、っ?」
人混みに紛れて歩く彼女を呼びとめようと近づいて、そこで彼女が一人じゃないことに気づいた。
楽しそうに笑う明日菜を見て少しムッとする。
なんか俺といるときより楽しそうじゃねぇ?相手誰だよ…―。
「………………チッ」
見るんじゃなかった。
俺はフッとまるで何も見なかったかのように、明日菜に背を向けて歩き出した。
懐から取り出した煙草をすぐに点け、煙を肺に思い切り入れた。あー、イライラすんな。
さっき見た笑い合う明日菜と見知らぬ男の姿が何度も脳内にチラつく。
くっそ。誰なんだよ…っ!
結局俺はイライラしたまま買い出しもせずに部屋の玄関を開けた。
足取りも荒く、ソファーにドッと身体を落とすと俺は天井を仰ぎ片腕で目を覆った。
少し一人で静かにしていたかった。
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