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煙草の灰を何度目かわからないが捨てる。たいして口には運んでいないのに勝手に短くなるんだ。
全く俺は何をこんなにイラついてんだか。たかだか従姉妹の恋愛事情に遭遇しちまっただけだろうに。
「ハァ…」
それでも。
それでもやっぱり何故か気になるもんは気になるわけで。
「あーあっ、どうしたもんかなぁっと!」
ボフンと結局煙草を揉み消して、勢いよく背もたれにもたれ掛かる。
と。そこにガチャリと玄関が開く音とともに明日菜が現れた。
「あ!翔ちゃん今日は早かったんだねっ。遅くなってごめんね?今からご飯…、あ。翔ちゃんもうご飯食べた?」
「………いや」
明日菜はいつも通り慣れた様子で備え付けの小さな台所に立つ。そう、いつも通り。
それが何故だか気に食わない。
今まで誰といたんだ。
どこに行ってたんだ。
あの男とどういう関係なんだ。
今すぐに詰め寄って問いただしたい。
…なんて本当に俺はどうしたってんだか。何にイライラしてんだか、それさえもわからない。
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