【NL】210号室【社会人×従姉妹】

6/26
前へ
/71ページ
次へ
  煙草の灰を何度目かわからないが捨てる。たいして口には運んでいないのに勝手に短くなるんだ。 全く俺は何をこんなにイラついてんだか。たかだか従姉妹の恋愛事情に遭遇しちまっただけだろうに。 「ハァ…」 それでも。 それでもやっぱり何故か気になるもんは気になるわけで。 「あーあっ、どうしたもんかなぁっと!」 ボフンと結局煙草を揉み消して、勢いよく背もたれにもたれ掛かる。 と。そこにガチャリと玄関が開く音とともに明日菜が現れた。 「あ!翔ちゃん今日は早かったんだねっ。遅くなってごめんね?今からご飯…、あ。翔ちゃんもうご飯食べた?」 「………いや」 明日菜はいつも通り慣れた様子で備え付けの小さな台所に立つ。そう、いつも通り。 それが何故だか気に食わない。 今まで誰といたんだ。 どこに行ってたんだ。 あの男とどういう関係なんだ。 今すぐに詰め寄って問いただしたい。 …なんて本当に俺はどうしたってんだか。何にイライラしてんだか、それさえもわからない。  
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加