【NL】210号室【社会人×従姉妹】

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  台所から明日菜の鼻歌とともに晩飯のいい匂いが漂ってくる。 ……随分と今日は機嫌が良さそうだな。そんなにあの男といるのが楽しかったのか? うっすら開いた目で台所の方を見遣るも、また溜め息が出た。 思考がぐるぐると暗くなっていく気がする。 イライラを何とかしたくてまた煙草に手をかけかけた。 「翔ちゃん」 俺を呼ぶ声に顔を上げればそばに明日菜が立っていた。 不安げなその顔にまた何故か苛立ちが増したような感覚がする。 「………何?飯出来たの?」 「う、うん…」 自分でも思ったより冷たい声が出てしまった。戸惑ったような彼女の声を聞き流して、俺は食卓につく。 今日はカレーだった。 「…………」 いつもより静かに食事が進む。 今日ばかりは明日菜もあまり口を開かず、ぽつぽつと俺の様子を窺うように話す。 大人気ないとは思ったが、この苛立ちを隠すことができなかった。  
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