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「ねぇヒロ、川島呼ぼうか?」 江里が名案とでも言いたげな顔をずずいっと前に出す。 川島秀明はやはり私達の同期で、私と同じく江里に取っ捕まった可哀相な奴。 嫌な顔しながら私達に絡まれてるが、離れて行こうとしないのはやはり腐れ縁なのだろうか? 「川島、新婚じゃん。可哀相だよ…」 私は窘める様に江里に言う。 江里も彼氏と長いけれど、数ヶ月前に川島はなんと高校生の時から付き合っていたと言う、亜由美ちゃんと晴れて籍を入れた。 江里は、 「もっと遊ばないていいの?」 って煩かったけど、私は密かに素敵だなって思っていた。 江里に馬鹿にされるから絶対言わないけど… 「十年付き合って新婚もないでしょ?」 江里は隣の椅子に置かれた鞄を手繰り寄せると、素早く携帯を取り出した。
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