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ここで普通なら大喜びして万々歳なのだが、男は目を見開き、口をぱくぱくさせて黙る。
光の先には茶色のタイルが敷き詰められた地面、中央には噴水、所々にベンチがあり男女がくつろいでいたり、寝ていたり、自動販売機で飲み物を購入する者もいる。
一見してみればごく普通の円形の広場に学生やら何やらがたむろしているように見えるが、"男には彼等が『一般人』でないことが、広場に出た瞬間、理解できた"
「あ……ア…………」
男は意味不明の声を発する。
だが、それも理解できる。
この広場にまともな人間など誰ひとりいないのだから。
男はその場にへたり込む。
そこへ---
カッカッカッカッ
と、高級そうな革靴の音が背後から聞こえてくる。
「おやおや、へたり込むのはマナー違反ですよ。社会ではモラルが大事です。ましてや---」
先程のスーツ姿の若い優しく笑む男が現れる。
「裏切りなどは処罰の対象です」
穏やかに言うが内容は、穏やかではない。
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