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男は放心状態だったのだが、立ち上がろうとして、まだ逃げようとするが、
「無駄ですよ。わかっているでしょう、諦めなさい」
それを聞いて男の身体は強張る。
男はその場に佇んでいたが、暫くするとスーツ姿の男に向き直り、
「頼む! 助けてくれ! 組織に戻れというなら戻る! 何でもする! だから「殺さないでくれぇ~、…………ですか?」がっ……ゲボォ……!」
スーツの男のこれまた高そうなズボンを掴み、泣きながら命乞いをするも、スーツの男は笑いながら男の腹部を思い切り、蹴る。
「ひひひ……馬鹿ですねぇ…………まだわからないんですか?」
「おぇえ…………」
吐きながらスーツの男を見上げる。
「貴方は使い捨てなんですよ? 『盗ム者』の席は元よりありません。貴方の仕事は『奪ウ者』の仕事なのですが、少々危険が伴うということで、別の人にやらせましょー、ということになったんです。言ってみれば臨時雇用ですかね」
笑いながら簡潔に事実を伝えるスーツの男。
あまりにもあっさりした告発にア然とする男。
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