「仮想世界」 -Virtual World-

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しかし、状況を理解出来ないのか、或はしているのかはわからないが、命乞いを止めない男。 「助けてくれ! お願いだ! 俺には病気の娘がいるんだ! 一人にしちまったら……! そうだ! 弱者を助けてくれるんだろ!? だったら…………」 「は? 誰が"弱者を助ける"なんて言ったんですか? 我々の基本は『自己救済』ですよ? 我々は『自己救済』がしやすいようにするだけです」 「そんな……でも---」 「うるさいですねぇ……。まあ、しかし、そんなに助けてほしいなら免罪符を差し上げましょう」 「免罪符……ってことは助けてくれるのか!?」 「はい」 「やった……助かる…………! 死なない! 加奈、父さん死なない!」 「ひひひ、素晴らしい家族愛(笑)ですね。では、貴方を娘さんごと救済しましょう」 「娘も……ありが-----!?」 男が安堵したのもつかの間。 すぐに異変に気づく。
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