10:12 『不必要な者達』の居住区

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古びた民家が並ぶ平穏な景観に、不相応な状況が起きていた。 白と黒のツートンカラーで彩られた自動車が何台も並び、その中央には明らかな『異常』。 まるで別世界に切り離されたような空間に、一台の車が止まる。 ドアが開くと、中から一人の男が現れた。 歳は外見で判断するならば三○代前半。 二メートル近い背丈を、黒のスーツが包んでいる。 ただ、彼を『サラリーマン』と定理付けるには少しばかり眼光が鋭すぎた。 常人ならこの場にいることすら躊躇うだろうに、男は黙して進み続ける。 そして着いた先は、常識の反対側。 「……、何がどうなってる?」 男の目に写ったものは 「――――ご苦労様です、警部」 いつの間にか、側に制服姿の男が立っていた。 警部と呼ばれた男は、嫌気に満ちた表情をさらける。 「あんまし警部って呼ぶな。好きになれねえんだよ、それ」 「ですが……」 「んな事より、だ。……なんだこれ」 かくして『これ』と名付けられたものの正体は家――だったものだ。
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