10:12 『不必要な者達』の居住区

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一昔前なら家賃三万ほどで住めたであろう瓦屋根の一軒家。 その壁には直径二メートル程の穴が空き、中の様子がとてもよく見える。 百歩譲ってこれがまだ可能性のある出来事だとしよう。 「――誰だ、コイツ」 その近く。 銀色の髪をした男がいる。 ――いや、いた。 「真面目に誰なんだ、このホトケさんはよ」 後頭部に穴。 周りの砂が血を吸い、浅黒く固まっている。 「髪の色から判断して『犯罪者』……だろうな?」 「そりゃあそうでしょうよ」 制服男(仮)は軽い愛想笑いを浮かべる。 「とりあえず鑑識に回しとけ。俺はもう一つの案件に行ってくる」 「と言いますと、『死亡遊戯』ですか?」 「ああ。俺にしてみりゃ、あっちの事件の方が信じられねぇよ」 そして男は車に戻り、キーを差し込んだ。 エンジンの起動音が何度か鳴り渡る。 「しっかしまあ、妙な場所で死んでやがったものだぜ。『不必要な者達』の居住区で、とはな……」 呟いた。 ――――瞬間、僅かに。 ほんの僅かにだが、その呟きが脳裏をチカリと掠める。 「…………まさか、な」 有り得ない話だ。 そう判断し、男はアクセルを踏み込んだ。
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