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瞬間、視界に真夏の陽光が飛び込んできた。
真っ白な世界はまるで夢の中に迷い込んだかの様だった。そして、ゆっくりと現実に戻っていく。
しかし、その先には、何かの手違いだろうか、取り残されたように夢の続きが横たわっていたのだ。
それは夏の青空に浮かぶ雲のように真っ白であった。
それ、というのは失礼だろうか。なぜなら、それというのは一人の少女であったのだから。
白色のワンピースを着たショートカットの少女。彼女が玄関の前で倒れていた。
「……たす、けて」
震えた声が僕の耳に飛び込んだ。
突然の出来事に当惑する。踏み出したはずの一歩を一瞬、引き戻してしまいそうになった。
彼女は懸命にか弱い手を伸ばす。
いったい少女が何に怯えているのか、はたまた、どうしてこのような怪奇な状況になっているのか、全く僕の理解が追い付かない。
しかし、彼女のまるですべてを失ったような、地に落ちた天使のように光を失った瞳が、言葉なんかよりも一層に僕に助けを訴えていた。
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