偶然は突然に

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その後空き教室で4限目の終了まで惰眠を貪り、教室に入ったのは昼休みが始まってからであった。 俺の隣の席で彼女と向かい合って仲良く弁当を食っている男が俺の顔を見るなり興味深げにほくそ笑んだ。 「よお、村崎。随分とハンサムになったじゃないか」 藤山真尋(フジヤマ マヒロ)――この学校で唯一の友人といえる人間だ。中学の時からの親友で、俺に負けず劣らず学業というものに興味がない。 寝癖なのか、セットを間違えたのかいまいち判断の付かない髪型をしていて、いつも眠そうだ。 「そんな意地悪なこと言わない。ほら、村崎君も椅子に座りなよ」 そう促すのは、藤山の彼女の光石和紗(ミツイシ カズサ)、こっちは高校に入ってからの知り合いだ。引っ込み思案で、正直俺や藤山以外と話しているところは数えるほどしか見たことがないが、意外とお節介焼きな一面もある。 真面目な性格で、テストの成績も結構いいらしい。童顔で、美人というよりは可愛らしい感じの子で同年代の女子よりも身長はかなり低い、胸もあまりないので実年齢よりも随分幼く見られているだろう。
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