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校門を抜けたところで腕時計を見る、10時35分――2時限目が終わり、3時限目まであと5分。ちょうどいい時間だ。あと5分あれば余裕で間に合う。
誰もいない昇降口に入ろうとすると、どこからか言い争う男女の声が聞こえてきた。
声のする方に歩を進める。声の主たちはこの校舎にある体育館の裏側、不良たちがタバコを吸うスポットからであった 。
1人の髪の長い女生徒が3人の男子生徒となにやら言い争いをしている。俺は物陰に隠れ様子を窺った。
「学校でタバコを吸っていいと思いまして!?」
少女の声だ、どうやらタバコを吸っている不良を咎めていたらしい。
「お前には関係無いだろ!」
不良が負けじとかなりたてる。
さわらぬ神に祟りなし、君子危うきに近寄らず。昔から伝わる言葉だ。俺はこの諺に則りその場をあとにしようと背を向けたが、「きゃっ」という小さい悲鳴に振り返る。
言い争いが白熱し、遂に不良の1人が女生徒の手首を掴んだようだった。
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