偶然は突然に

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「よせやみっともない」 スクールバッグを置き、不良と女生徒の間に割って入る。 別に女生徒を助けようと思った訳ではない。そう、ただの暇つぶしだ。3限目には遅刻するだろうが、よく考えたら次の授業は古典なので出たところで俺の理解出来る授業ではなかったのだ。 俺は女生徒の手首から不良の手を無理やり引き剥がし、不良たちと向かいあった。 よく見るとこの不良どもには見覚えがあった。名前は知らんが同じ学年の連中だ。廊下を肩で風切って歩き、トイレをしゃべり場として占領するのが好きな連中だ。 「なんだてめぇ」 女生徒の手首を掴んでいた不良が敵意丸出しの瞳で言い捨てる。 「朝からうるせえよ。とっとと消えろ」 俺が吐き捨てるように言うと、別の不良が口を挟む。 「その女が先に喧嘩を売ったんだ!」 さらにもう1人が「てめぇにゃ関係ねーだろ」と口角泡を飛ばす。 「うるせえな。バレる場所でタバコを吸ってたのが悪いんだろうが」 後ろから「バレるバレないの問題ではありませんわ!」と反論の声が聞こえるが無視。
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