偶然は突然に

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3対1と不利な戦いであったが、恐らく向こうは喧嘩慣れしていなかったのだろう。少し傷ついただけで「覚えていろ!」と分かりやすい雑魚キャラのような捨て台詞を吐いて撤退していった。 まあ俺もただでは済んではいない。殴られたり蹴られたりで体中痛いし、顔面だけでも三発は殴られている。とはいえ大した怪我ではないが。 俺はここで初めて振り返り、女生徒を見た。 ――美人。それが正直な第一印象だった。隠れて見ていたときは後ろ姿しか見えなかったのだ。 腰まで届きそうな長い黒髪。上品そうな垂れ目に代表された整った顔のパーツに、スラリとしているものの出るところは出た体つき。身長は155センチほどだろうか。 とにかくかなりの美少女だ。 しかしここまでの美少女なら一度見たら25年くらいは余裕で覚えていそうなものだが、あいにくと記憶にない。多分他の学年なのだろう。
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