偶然は突然に

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「そうですわよね! なにせ私の命を救ってくれた命の恩人。ならばなにを求められてめ差し出さなければいけませんわ! そう、例えそれが私の体であっても! ああ、でもそんないきなり! 駄目ですわ! いくらなんでもそんなことまで!」 真っ赤になった頬に手を当て、ブンブンと首を横に振る女生徒と、若干距離を置く俺。彼女の中では今の俺はどれだけ変態なこになっているのか想像するだけで身震いした。 どうやらちょっと……いや、かなり変な子を助けてしまったらしい。俺はそっと立ち上がり、別の世界へと旅立ってしまった女生徒を置いて保健室を出ようと試みた。 扉に手をかけた途端「どこへ行くのです?」と焦りの混じった声が後ろからした。どうやらアナザーワールドから戻って来たらしい。
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