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お仕置き編
…秋の国、宮中――。
月が煌々と輝き、風が静かに木々たちを揺らす夜も更けた頃。
今日も宮中の一室、麻宮の執務室の明かりが燈っていた。
その部屋から漏れる、艶のあるか細い声。
「…んっ。…っあ、…ン…はぁ…、……んぅ…、も、も…これ以上は……。…は、早…っは…」
「……。噛んだな。…もう一度、最初から…。次は、もう少しゆっくり…」
自分の上司である麻宮の細められた金色の瞳が、羞恥により俯いて白い肌を耳まで紅く染め、艶めいた唇を震わせている夜儀をとらえる。
ゆっくりと顔を上げ、潤ませた紅い瞳は恥ずかしさから視線は合わせないまま恐ず恐ずと口を開く。
「……ま、…麻宮様。…さ、最後までやりますから、…そ、その出来れば、人払いを…」
「ならんな。…お前がちゃんと仕置きを受け、見届ける見張りがいなくては意味が無い」
夜儀が見張りと呼ばれた脇に控えている二人の男に視線を向けると、赤い髪の少年と銀の髪の壮年の男はそそくさと視線を逸らす。
赤い髪の少年・笹羅は咳払いをすると視線を宙にさ迷わせ赤い顔を冷ますように手で扇いでいる。
銀色の髪の壮年の男・鶉火はいつもの堅い表情がほんのりと紅く染まり俯いてしまった。
その二人の様子を見て夜儀の顔は赤みを増すばかりで、その紅い瞳には薄っすら涙さえ溜まっていた。
そして、その様子をただ一人麻宮だけが柔らかな笑みで見詰めている。
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