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枷が付いてあった痣が残る手首を掌で撫で、唇を噛み締める。
「……、何が…、あったかは聞かないのですか?」
「…先程も言ったが、話したいのか?我は貴様の過去になど興味はない」
麻宮の言葉に、瞳が僅かに潤む。
普通なら冷たい言葉に感じるであろうが、夜儀はその言葉にひどく安堵した。
「……有難う、ございます」
「…それは、先程聞いた。そんなに礼を受ける覚えは無いが」
「……それでも、有難う御座います」
相手にその気は無くとも、夜儀はその言葉を伝えずにはいられなかった。
小さく溜め息を吐くと麻宮は再び口を開く。
「………それで、貴様はどう生きるつもりか?」
麻宮の問いに顔を上げ、真っ直ぐに見返した。
「……私は」
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