出会い

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キイィン… 最後の一人が襲い掛かって来た剣を弾き飛ばすと、 弧を描いて空中を舞った。 4人居た兵士達が全て気絶状態でその場に伏している姿を大天使が横目で見ると 腰に下げていた剣を抜いた。 「やっぱり降格してたか」 前まで出来ていた剣を霊力で錬成出来ないのは、降格した証拠。 大天使の中でも、レベルがあるのだが、そのレベルが上がると 錬成をする事を許可される。 では、誰が許可するのか…それは神なのだろうか 自然と身に付くもので、失う事も自然に起こる。 「ああ、お前にはしてやられた」 「悪かったな…でも大人しく捕まる訳には行かないんだよ」 「でも、お前は、お前だけはこの手で捕まえてやるっ!」 剣の先端が怪しく光ると、その光が美しい弧を描く。 風が引き裂かれ、ヒュオッと唸ると、その音と同時にレインの身体もふわりと 浮き上がり、剣先を交わすとそのまま背を向けて湖とは逆の方向へと走っていく (え?レインどこに行くの?) 自分が居るのは逆方向なのに…と 思っても取りあえずは逃げなくてはならない事を思い出し リイナは慌てて湖に向かった。 はぁはぁと、息を切らしながら付いた湖で、大きな木を探しその根に 身体を押し込むと、小さく丸くなって辺りを伺った。 木々が揺れる音と虫の鳴く声だけが辺りの音を奏でている。 (レイン…大丈夫かな…) カサリ…草が揺れるたびに、背中がビクッと揺れる 緊張が続く事など今までになかった為、リイナの緊張の糸も 限界を感じていたのだろう。 フッと、まるで気を失うようにリイナは意識を手放した。 「ん……」 次に気が付いた時には、目の前に大きな壁が出来ていた 「え?なに?これ…」 そっと手を当てると 「あ、暖かい…」 「起きたか?」 「え?レイン!?」 すっと、その場所を開け放たれてリイナが、前へと身体を押し出すと レインが手を差し伸べてくれ、その手に掴まるとヒョイと体が木の幹から 抜け出す事が出来た。
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