出会い

2/13
前へ
/112ページ
次へ
天空に浮き立つ雲  その一つに建てられた宮殿。 長きに渡り誰にも発見されないのは 飛行機が飛ぶよりももっと遠く 地上に降り立つ事の出来る場所。 人には見える事もなく、天使達は静かに生活をしている。 雲の間から流れる川は、サラサラと流れ どこからともなく沸き上がる水は、何処へ消えていくのか… 川のほとりで、のんびりと時間を費やす二人が会話を紡いでいく 「ここ数日は穏やかね?」 ニッコリと微笑む金髪の長い髪を持った白装束の天使が ブロンドの髪を肩まで伸ばした白装束の小さな羽根の天使に問う 「はい、明日は天使界も忙しくなりますから…」 明日忙しくなるのは、数年に一度の天使の復活祭があるから この祭りで木から羽のない天使が生まれるのだ。 背の羽根の大きさが、その天使界での地位を格付けるもの。 大きな羽根は、霊力の強さと比例する。 だから、天使に成りたての者は羽根が小さく霊力も薄い 大天使、天使、子天使、と年齢は関係なく位が上がるのだ 「あっ…」 子天使は、慌てて水辺に駆け寄った。 「人…なの?」 羽根の大きな天使が手で口を隠し、目を見開いた。 川から流れてくる黒いなにか… だが、天使界でこんな珍事は滅多に起こらないからこそ 免疫のない天使は、恐る恐る近づくが、子天使は免疫こそないが 特にこの子は、好奇心の塊。 新しいものには何でも手を伸ばしたくなるのだ。 「天使様っ!だ…堕天使ですっ!」 子天使が、川の水から拾い上げた身体に羽根が備わっていた 右が天使の白で左が…悪魔の黒 子天使とほぼ一緒の年齢だろうか?20・1歳ほどの青年 「なっ、堕天使ですって?報告をしなくては!」 「待って下さい!怪我を!怪我をしていますっ!」 元は天使なのだ…堕ちたにしてもすぐに災いを呼ぶ事はないだろうと思った だから…ひっそりと建てられた子天使の小屋に運び込んで治療を施す事にした 子天使とはいえ、命に関わるほどの重病人でない限りは 治療する事が出来るのだ。 きっと今頃、天使は報告に行っているだろう。 男の堕天使が堕ちたと。 「綺麗…」 漆黒の髪を梳くと、サラサラと、指先から零れ落ちる。 前髪が目に掛かる程度の長さで彼の瞳の色は今は伺えない。 耳が出ていて、悪魔の証である耳の上が尖がって居ない事に目がいく 「本当に堕天使なの?」 クスクスと笑いながら、髪をもう一度梳こうと手を伸ばした時 パシッ!
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加