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カツン…カツン
不意に聞える牢獄への渡り廊下を歩く音
門番か何かだろうと気にも留めないつもりだったのにその足音が嫌に耳に残る。
自分の牢の前で足を止めたのが解り、リイナは格子の少し後ろから声をかけた
「だれ?」
「受け取れ」
「へ?」
ぶっきら棒な男性の小声で
すっと、綺麗な手だけが牢獄の前へと差し出された
その指先に握られた鍵…
「罪人なんかに手を貸したら…羽根が汚れますよ」
白い羽根が少しだけ見えたのでその言葉が適切だと思ったリイナは
なんの疑問も持たずに、近寄った
「お前は罪人ではないだろう?鍵を受け取りなさい」
「いいえ、堕ちても良いんです…」
「なぜ?」
「私は、彼を助けた事を罪とは思いませんから」
「ではなぜ罪人などと言う」
「この場所に居るから…私は罪と思わなくても、罪なのでしょうから」
すると、横に居た指先所か、身体まで見える
黒の装束に…白の羽根…魅了して止まない漆黒の髪に、赤と青の深い瞳…
その姿にリイナが目を見開いた
「っ!レイン!?」
「いいから逃げるぞ!」
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