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鍵を開けたレインが、
リイナの手を引いて渡り廊下まで出ると
じめじめとした回路を抜け、
一気に目の前が開ける
高い塔の上 レインがバサリと羽根を開いた
「ま、まって…私まだ」
羽根は天使レベルでなければ飛べない。
子天使のままでは、羽根は小さく飛ぶのが精一杯
しかも、飛び方の練習もまだしていないリイナが飛べる事は出来なかった。
「つかまってろ」
グイッとリイナの身体を自分の腰に引き寄せ、レインが顎を上へと向け空を仰ぐ
腰の辺りを抱えられ、リイナの心臓が脈を強めてしまう。
「うわぁ…」
バサッと一扇ぎする度に、塔が遠のいて行く
一瞬にして全貌が見えると驚くほど大きな宮殿
その宮殿から逃れて、自分は又…罪を重ねたとリイナは思う。
なぜ、行かないという選択をしなかったのだろう。
なぜ助けられてしまったのだろう…
なぜ…レインの腕に抱かれているんだろう。
「リイナ!降りるぞ」
名を初めて呼ばれただけで胸が苦しくなる。
小さく、ハイと返すのが精一杯なのを彼は知らない…
だが今はそんな事はどうでも良い
結局助け出されても追われる身分に変わりはない今
リイナは途方に暮れるしかなかった。
この生活しか知らない。
この生き方しか知らない。
だが、リイナを助けたレインは、良かったなと告げてくる
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