出会い

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ありがとうと言えば良いのか… それとも、なぜ助けたのかと問い質せば良いのか… リイナの頭の中は、何一つ纏まらなかった。 家まで運んでくれたレインにどうにかお礼を告げて、 頭を混乱させたまま一人小屋へと戻った 小さな小屋、窓の近くにベットがありそのベットの上には白と黒の羽根 その羽根を握り締めると、おもむろに自分の衣類を鞄に投げ入れ 数日でもしのげるように、食べ物を入れるとリイナは行く当てもなく家を出る。 捕まるのは解っているけれど、助けてくれたのだからそれには報いたかった。 「おせーよ」 「レイン?」 小屋に身体を預け、腕を組んだままのレインがリイナを待っていたのだ。 「行くぞ」 小屋から身体を引き離すとレインは何も言わずにリイナの荷物を手から奪い、さっさと歩き出した 「え?ちょ、レイン?」 「ん?」 「なんで…?」 「何が?」 ニヤリと笑う彼に何も言えなかった。 リイナは黙ってレインの後を付いていくしか出来ずいつしか迷いの森と呼ばれる所まで来ていた。 「今日はここまでだ」 「これから…どうするの?」 やっと聞けただけで、リイナはホッとする。 この先自分の身の置き場が解らないのだ 鬱蒼と茂る木々がさわさわと風に揺られ、レインの髪がさらりと揺れる 「ん、まぁどうにかなるだろう…天使界からは出なくちゃならないがな」 「え!? で、出るの?」 「居られないだろう?」 リイナは何かを考え込むように眉間に皺を寄せる。 こんな事になるなんて…と、 リイナはこの一日の出来事を思い返すしか出来なかった。
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