プロローグ

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過去、旧世紀において最大のテロはアメリカで起きたと言われている。皮肉なことに今世紀においても、アメリカはその被害を被った―― ロシア連邦が管理する放射能廃棄物処理人口衛星「ポルィーニ」が突如、アメリカ合衆国の首都ワシントンへの直撃コースをとる形で大気圏に突入、世界を震撼させた この突発的な事態の中で行われた必死の迎撃作戦により、当初の落下地点であったワシントン周囲への落下は回避され、放射能物質の広域拡散も防がれた。しかし、ポルィーニが直接落下したアメリカ南部の大半は人の住めない死の土地となる アメリカはこの事件に関する謝罪と莫大な賠償をロシアに要求。一方のロシアも、原因は解明されていないとはいえ自国の人工衛星、それも古傷とも言える放射能を満載したそれを落下させてしまったことに対する世界中からの批判や、加えてAMWの軍事産業という新たなアドバンテージを得ていたことによる経済的余裕があったため、謝罪及び損害賠償は速やかに行われた。また、後の発表で原因は"デブリとの予期せぬ接触であり、ロシア政府はもとより、誰にも予期することのできなかったこと"とされ、確執も最小限で抑えられた しかし、あまりにも完璧な突入コースで起きたポルィーニの降下、そしてそれに対する賠償や謝罪などの国家間の諸問題が表向きとは言え"不自然なほどに"即急かつ速やかに解決されたことなど、今だに謎の多い出来事として人々の記憶に残っている。これが本当に偶然起きた不幸な事故だったのかどうかの議論や憶測は様々なメディアで発生したが、結局はほとんどが謎のまま、この一件はひとまずの解決を迎えた ――― ―― ― しかし、真偽に疑惑を持ち、自分達の故郷を草花も生えない土地にされたことへの復讐心を引き金としたアメリカ・ロシアで連鎖する大規模テロ 本国の衰退とテロ対策の為に米軍が完全撤退した日本国内において、正体不明の武装集団による首都進攻が発生する。それから一月もかからずして、一連の全てがある巨大テロ組織によるものだったという、あまりにも遅すぎた犯行声明"が表明されたのだった そして、それから幾ばくかの歳月が過ぎ――
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