#1 機士科のお仕事

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「起床時間はとっくに過ぎているんだぞ。いつまで寝ているつもりだ……聞いているのか?」 (よし、このまま剛に助けてもらおう、そうしよう……いや、しかし) 「起きてるのは解ってるんだぞ比野 日比野三等陸曹……おい比野、貴様っ」 (さすがに目が覚めたら寝袋に技極められてたなんて……ちょっと恥ずかし) 「いい加減起きろぉぉぉぉぉ!」 「うぉぉぉお?!」 そういう年頃ゆえの羞恥心と葛藤している間に、辛抱ならなくなったらしいそれが叫びながら恐ろしい力で寝袋を持ち上げ、揺り籠をぶん回すように揺さぶり始めた。引っ掛かったままの首がやばい。浮気されてヤケになった奥さん並みにとか良くわからない比喩表現が浮かぶくらいヤバい 「やめでぇぇ折れちゃう、折れちゃうからぁぁ」 声とこの暴挙を行う妖怪筋肉寝袋揺らしが現在進行形でやっている、下手すると殺人罪に問われかねない行為を辞めさせる術を探すが 「この語に及んでまだ起きんつもりか貴様!」「ちょ、違っ」 見つからない上に聞く耳持たず。神へ助けを願い始めた直後、上下がひっくり返った。AMWの空挺降下演習でヘマをやらかした時に似た感覚 「おおお?!」 「だりゃああああ!!」 一瞬の浮遊感、そしてビリリッ! と言う効果音と共に寝袋が引き裂かれた 視界が一気に明るくなり、息苦しさが解消され―― ごんっ 後頭部を床に打ち付けた、それはもう豪快に 「おっふ!!」 あまりの痛さと衝撃に思わず変な声を出して転げる、いくら訓練していても後頭部は鍛えられないのだ
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