#1 機士科のお仕事

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そして部隊長の朝礼もそろそろ佳境、最後の締めにお馴染みの”爆薬語録”(命名:宇佐美さん)で締めようとしたところで 「んでつまりだ、グリセリンとは『リンリロリンリロ』……すまん、ちょっと電話」 携帯の着信を止めつつ、何度聞いてもいよくわからない爆発物に関する講座を中断して、会議室から出ていく髭部隊長。ざわざわと会議室が騒めく中、志度がちょいちょいと脇腹を突いて来て、顔を向けると後ろに親指をくいっと向けた。心視を起こせという合図である……とりあえず後ろを向いて呆け面を軽く叩くと「甘過ぎるのもよくない……」とか言って心視は目を覚ました。これから仕事だというのに若干寝ぼけているようだが、気にしない 「いつものパターンだよなこれ、今月一回目きちゃう?」 「電話の相手、声がこっちに漏れるくらい切羽詰ってからなぁ……いつもいつもあの着信音が鳴るときは緊急事態って感じだから予想はつくけど」 「ところでさ、緊急事態って突拍子もなく突然、予想外の出来事が起きるから緊急って言うよな? こんな感じで先に解ってることは緊急って言うのか?」 言われてみれば確かにどうなんだろうか――そこまで考えて、自分が緊急事態=日常茶飯事という考えに毒されていることに気づいて、比野はため息をついた
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