プロローグ

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テロリストの声に反応してまわりの同級生を見渡すと、少女のすぐ隣、いつも男子が読むような情報誌ばっかり読んでいた物静かな女生徒が、地味な柄の携帯電話を握りしめて震えていた 少女は不意に”好奇心は猫を殺す”という言葉を思い出した。同級生の中から「あのミリオタ馬鹿……!」と、女生徒を咎める声も聞こえるが、もう遅い 銃を構えた男が怯える女生徒に気付くと、にたにたした笑みを浮かべながら銃口を向ける。指が掛けられ、今にも弾丸が放たれそうな凶器を向けられ、今にも気絶しそうなほどに顔色を蒼くした女生徒は恐怖に震えて声にならない嗚咽をあげている その様を楽しそうに見る他のテロリストと、怯えてばかりで、それどころか自身が巻き込まれないようにと身体を捩らせ距離を取ろうとするばかりの同級生達。教師も、先ほど庇ったらどうなるかの実例を見せつけられていて動けない 「私たちも極力嘘を付きたくはない、だから大人しくさえしていれば殺しはしない」 銃口をくるくると見せつけるように回しながら、黒ずくめの男は言う 「そしてもちろん、大人しくしなかったら殺す」 その指先に力が入る、銃口から飛び出した銃弾が女生徒の頭を吹き飛す―― 前に、十トントラックが正面衝突したような轟音と振動が、その行為を阻害した ガラスがけたたましい音を立てて割れ落ちる、それだけでは留まらず、ホール正面の入口が鉄の塊と一緒に内側へと崩れ落ちた
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