プロローグ

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――― ―― ― 自身がTk-7で、文字通りぶち空けた穴から自衛隊が突入したのを確認して、パトカーやら救急車でごった返す中、AMWから降りる 突然入った飛び入りの仕事だったが、特に問題なく事が済んで良かったと、余韻に浸かりかけたところに 「いやぁ助かりましたよ比野陸曹、危うく我々の首が飛ぶところでした」 野戦服を着た自衛官が駆け寄って、文字通り手で胡麻を擦るようにしながら今し方歩きながらヘルメットを脱いた、少しデザインの違う制服を着た自衛官、比野 日比野三等陸曹の横について歩き始めた 「首が吹き飛ぶのは貴方の前に、一般市民の人たちでしょう。しかも物理的に」 声をかけられた比野は、先ほどまで乗機で簡単なパフォーマンスをして見せた時とは打って変わって不機嫌そうな様子を隠さず、ぶっきらぼうに言った。”妙に背が低い”彼に視線を合わせるようにへこへこ腰を下げる自衛官は皮肉だと気付いていないのか、関心がないのか 「あ、いえ、今回の件は我々としましてもですね。まさかテロリスト風情がAMWを運用しているなど思いもしなかったものでして」 言いながら尚もへらへらしている態度に嫌気が指す、こんなのが一個小隊受け持ちの陸尉になれるのか……なら万年陸曹の僕は一体何なんだろう――と、階級も歳も上だろうに媚び売る様な態度をとるこの男にさらに苛立ちながらも、我慢して歩く 「こちらとしましては、まさかあれほどの装備が市街地で展開されるとは思わずですね」 「……だから、駐屯地の機士全員を同時に研修送りにしたんですか? 無理矢理」 「一度に済ませてしまった方が良いでしょう?」 何を馬鹿なことを……という罵声を、比野はなんとか口に出さないように努めた。こんなのでも、一応自分より階級も歳も上である
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